
OKMusicで好評連載中の『これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!』のアーカイブス。今回はアンビシャス・ラバーズが88年にリリースした『グリード』を紹介する。70年代後半、ノーウェイヴ派としてパンクのエッセンスを凝縮したすごいコンピ作『ノー・ニューヨーク』、80年代前半にはフェイクジャズというジャンルを生んだラウンジ・リザーズのデビュー盤、そして80年代後半に本作と、ロック史においての重要作3枚に関わったミュージシャンがアート・リンゼイだ。彼は単にミュージシャンという枠には収まらず、常にアーティスティックに音楽と向き合ってきた。そんな彼がアンビシャス・ラバーズ名義で発表した本作は音楽が向かうべき先を決定付けた名盤だと言っても過言ではない。
※本稿は2016年に掲載
『ノー・ニューヨーク』の衝撃
ロックの精神を取り戻そうと、70年代中期に登場したのがパンクロックだ。レコード会社が大企業化し、すっかり物分かりのよくなったロックを蘇生させたのが、パティ・スミス、ダムド、セックス・ピストルズ、ザ・クラッシュといったパンクロッカーたち。しかし、彼らもまたあっと言う間に大レコード会社に取り込まれ、若者たちの拠り所であった“パンクスピリット”も、単なる“パンクロック”というロックのジャンルのひとつになってしまうのである。
しかし、インディーズで活動するグループのいくつかは、パンクスピリットをますます過激に凝縮させながらアンダーグラウンドで活動しており、78年にリリースされた『ノー・ニューヨーク』は4つのグループの演奏を収録した驚くべきアルバムだった。その4つのグループとは、ジェイムズ・チャンス&ザ・コントーションズ、ティーンエイジ・ジーザズ&ザ・ジャークス、マーズ、そしてアート・リンゼイ率いるD.N.Aだ。このアルバムのプロデュースはブライアン・イーノで、彼がどこまで関わったのかは分からないが、これら4グループを世に出したことで、彼の数多い仕事の中でもトップにランクするほどのマネジメントになったことは間違いない。
このアルバムに参加した4組の中で、もっともパンクスピリットを表現しているのがD.N.Aで、その異常とも言うべき激烈なサウンドは、病的に肥大したロック産業を切り刻み、ロックが本来持っていたパワーや批評性を蘇らせることになった。このアルバムについては機会を改めて取り上げるつもりだ。
D.N.Aはギター、ベース、ドラムの3人組で、ギター奏者のアート・リンゼイは、この頃ギターのチューニングすらも知らなかったのだが、このアルバムでのギター演奏は切れ味鋭く、今聴いても恐るべきプレイだと思う。この後、デビューアルバムのみに参加するラウンジ・リザーズでは、アートのカミソリのようなプレイに一層磨きがかかり、もはや誰にも真似できない芸術的な演奏に到達している。ギターが弾けなくてもギタリストになれるのかという問いには「アート以外ではムリだ」と答えるしかないが、彼はギターで音楽を演奏するというよりは、ドラマを演出すると言ったほうが近いかもしれない。彼のギターが如何にすごいかは、ラウンジ・リザーズのデビュー作1曲目に収録された「Incident On South Street」を聴いてみれば分かるので、ぜひ!
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May 10, 2020 at 04:05PM
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