Search

スポティファイもアップルも苦戦、インド音楽市場 - Wall Street Journal

インド・バンガロールにある双方向音楽博物館「インド・ミュージック・エクスペリエンス」 Photo: manjunath kiran/Agence France-Presse/Getty Images

 【ニューデリー】世界最大の未開拓のデジタル市場であるインドで、最も人気の高い音楽ストリーミングサービスを提供するのは、スウェーデンのスポティファイ・テクノロジーでも米アップルでもない。それはインド以外ではほぼ無名の音楽配信サービス「Gaana(ガーナ)」だ。ヒンディー語で「歌」を意味する。

 インドのデリー首都圏にあるノイダに拠点を置くガーナは、地元密着型アプローチと低価格でライバルを寄せ付けず、月間ユーザー1億5200万人を擁する。

 インドの消費者がガーナに殺到するのは、自分たちに合ったサービスだからだとアナリストは指摘。4500万曲以上のライブラリーは主にインドの曲で構成され、20余りの地域言語で聴くことが可能。例えば、パンジャブ語に自動調整されたポップバラードや、ヒンディー語のヒップホップ、ヒンズー教の猿神ハヌマーンの賛歌などもある。

 「(インドでは)消費習慣を地域ごと、さらに言えば都市ごとに理解する必要がある」。ガーナのプラシャン・アガルワル最高経営責任者(CEO)はそう話す。

 ガーナには世界のライバルに負けない強みがあると同氏は言う。インド全土で調査を実施し、新進アーティストを発見したり、予想外のリスナー傾向を見いだしたりと、各地域に関する知識を蓄えているためだ。

 人口13億人のインドではインターネット利用者がまだ半分しかいない。巨大ハイテク企業は先を争って、新たなネットユーザーの世界最大の宝庫に足場を築こうとしている。同国ではデータ通信料が下がり、安価なスマートフォンが広がるのに伴い、数億人が対話アプリ「ワッツアップ」で初めてメッセージを送り、オンラインで初めて買い物をし、ストリーミング配信で初めて楽曲を聴くといった経験をしている。

 「どのグローバル企業もインドでのシェア獲得を目指している」。インドの調査会社カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチのアナリスト、アブヒラシュ・クマール氏は指摘。「この市場はまだ生まれたばかりで、飽和状態には程遠い」

 一方、多くのインド人は音楽との結びつきが密接だ。祝い事や宗教上の礼拝、映画や文化的伝統にも音楽が一役買っている。コンサルティング会社デロイトによると、インド人は音楽を聴くのに週に平均21.5時間を費やす。これは世界平均を約20%上回っている。

 手頃なインターネットの普及で、多くのインド人が真っ先にスマホで入手したものの1つが音楽だった。動画共有サイト「ユーチューブ」でインドの音楽動画を配信する「Tシリーズ」が世界最多のチャンネル登録者を集めているのも納得できるだろう。

インド人は音楽を聴くのに週に平均21.5時間を費やすという Photo: saumya khandelwal/Reuters

 スポティファイやユーチューブ・ミュージックは昨年初め、インドでサービス提供を開始。短編動画アプリ「TikTok(ティックトック)」を運営する中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)は昨年、同社初の音楽ストリーミングアプリ「Resso」を試験運用する市場にインドとインドネシアを選んだ。

 アップル・ミュージックとアマゾン・ミュージック(アマゾンプライム会員向け音楽配信サービス)も、インドで数年前から利用できるが、ガーナの人気に追いつけない。

 カウンターポイントによると、音楽ストリーミングの世界売上高は昨年240億ドル(約2兆6000億円)に達した。インドはまだごく一部を占めるにすぎず、2019年はおよそ2億ドルだった。ただテックサイリサーチによると、インドのストリーミング売上高は2023年に4億ドルに増え、さらに拡大し続ける見通しだ。

ニュースレター購読

 順調なスタートを切ったガーナだが、競争で優位を保つには、技術革新を続ける必要がある。インドで人気のもう1つの音楽ストリーミングサービスは、巨大複合企業リライアンス・インダストリーズ傘下の「JioSaavn」だ。インドの消費者は絶えず店を回って品定めする傾向があり、他に条件の良いサービスがあれば、すぐ乗り換えるだろう。

 ガーナは2011年創業。インドのメディア企業ベネット・コールマンと中国のテンセント・ホールディングスが後ろ盾となっている。同社はインドのユーザーに合わせ、音声でアーティストや楽曲を検索できる機能を開発した。これは読み書きに支障がある、またはインドの地域言語をスマホに入力するのが難しい場合には強みとなる。

 またガーナは価格も魅力だ。広告付きの無料版があるほか、有料プランは1カ月12ルピー(約18円、学生向け)から。スポティファイにも無料版はあるが、広告のない有料プランは1カ月約87円から、アップルは76円強から、ユーチューブ・ミュージックは120円弱からだ。

あわせて読みたい

Copyright ©2019 Dow Jones & Company, Inc. All Rights Reserved. 87990cbe856818d5eddac44c7b1cdeb8

Let's block ads! (Why?)



"音楽" - Google ニュース
February 04, 2020 at 12:03PM
https://ift.tt/392U4OH

スポティファイもアップルも苦戦、インド音楽市場 - Wall Street Journal
"音楽" - Google ニュース
https://ift.tt/2O8FiNz
Shoes Man Tutorial
Pos News Update
Meme Update
Korean Entertainment News
Japan News Update

Bagikan Berita Ini

0 Response to "スポティファイもアップルも苦戦、インド音楽市場 - Wall Street Journal"

Post a Comment

Powered by Blogger.