10月16日は国消国産の日。「国消国産」とは、国民が必要とし、消費する食料はできるだけその国で生産するという考え方のこと。新型コロナウイルスの感染が広がり始めたとき、マスク不足が大きな問題になりました。もしこれが食料だったら、どうなっていたのでしょう?
いざという時、マスクのような工業製品は急いで作れますが、農地を耕し、自然と調和しながら長い年月をかけて育まれる農畜産物は不足したからといってすぐに作れるわけではありません。日本の食料自給率は38%(※…カロリーベース 2022年 農林水産省による)といわれており、食料の約6割を輸入に頼っていることが明らかになっています。
私たちの「食」を守るためには「国産農畜産物を選んで食べること」が重要です。国産の需要が高まれば農家が潤い、資材への投資、そして担い手が増えるという好循環につながります。
そこで、まずは身近な島根県の「食」について知ってみませんか?私たちが口にしている食べ物には、生産者の温かい想いや苦悩が隠されています。今回は、メロン栽培を営む大場さん、酪農家の西谷さんをご紹介していきます。
「〝濃厚でうまい〟が魅力のメロン~JAしまね益田メロン部会、大場尚俊部会長」
<生産の状況>
砂地で水はけがよく、日照時間が長いことが益田の土地の特徴です。この環境で栽培に適しているのが、香りがよく、果汁豊富なアムスメロン。ちょうど50年前に栽培を始めました。その後、益田ではきれいな網目が出るアールスメロンも合わせて、1年間に2作栽培する農法を確立しました。
私は30年前にUターンして親の跡を継ぎ、今に至ります。現在、益田メロン部会では20代から80代まで58人が栽培しています。
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<美味しいメロンをつくるために>
今栽培しているのはアールスメロン。最近は暑さが厳しいので、ハウスに遮光カーテンをかけて温度を下げる工夫をしています。アールスメロンは「アンテナ」と言われるT字型のつるが大事なので、1本の苗に1果実をつけるようにして、大切に育てています。
今年の秋は10月2日から出荷が始まりました。玉太りがよくて、上々の出来です。長年かけて定着した栽培技術ですが、気温が高くなってだんだん変わってくると思います。栽培に関しては臨機応変に対応していく必要があります。
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<消費者のみなさんへ>
益田のメロンは「濃厚でうまい」が一番の魅力です。生産者同士で情報交換したり、講師を呼んで栽培を学んだりして技術の向上に力を入れています。
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さらに選果場で糖度をしっかりと計測し、14度以上になったものだけ出荷しています。出荷先は関西を中心に県内、広島です。特に関西では、市場の信頼を勝ち得ていると自負しています。部会として栽培のレベルをもっと高めていきたいと思っています。
「家族の元気につながる牛乳~三瓶開拓酪農農業協同組合、西谷悟郎組合長」
<組合のスタート>
三瓶開拓農協は、戦後まもなく入植した開拓者が立ち上げた組合で、畑作(雑穀)主体の経営を昭和30年代に酪農へ切り替えました。当初の酪農家戸数は約50戸でしたが、「昭和38年豪雪」で出荷困難な状況が続き、多くが廃業しました。今は子、孫世代が継いだ11戸、8経営体が1日計約16トンの生乳を出荷しています。県内メーカーが自社ブランドで製造販売するのは全体の4分の1程度。三瓶の生乳は大半を広島県のメーカーに出荷し、『三瓶高原牛乳』の名で流通しています。
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<美味しい牛乳を届けるために>
大切にしているのは、安全でおいしい牛乳をみなさまにお届けすること。そのため、ストレスのない環境で乳牛を育てています。乳牛は繊細で、とくに朝晩の搾乳作業は気を遣います。
火山灰の酸性土壌にしっかり発酵させた牛糞たい肥を散布して栽培した牧草を与え、高原地ならではの冷涼な水、きれいな空気で育む生乳はすっきりした甘味が特長。数値に表れにくい風味は、産地のえさや環境を映します。三瓶の酪農家の飼料自給率は県内一高く、それは自慢ですね。
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<消費者のみなさんへ>
私たちのような家族経営の小規模酪農家は昨今のコロナ禍や物価高騰で「いっそ廃業」という思いが頭をかすめますが、「自分の代で途絶えさせたくはない」というのは組合の仲間、共通の思い。どの家も20~30代の若手後継者がいるのが救いで、誇りです。
今、行政やJAと協力して消費拡大啓発に力を入れています。牛乳は成長期に必要なカルシウムが豊富。子どもの成長を支え、家族の元気につながる牛乳習慣の普及に努めていきたいと思います。
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