新型コロナ禍の影響でドラマの放送予定が狂いまくりの4月クール。その中で話題を集めた、2つの音楽業界ドラマにフォーカスした記事の続き。
【写真】『エール』で裕一が指揮をしていたレコーディングシーン
90年代を舞台に平成の歌姫が誕生秘話を描くテレビ朝日・ABEMA共同制作のドラマ『M 愛すべき人がいて』。そして、昭和初期に多くの流行歌を生み出したレコード会社の専属作曲家が主人公の連続テレビ小説『エール』。
今回は、『エール』で描かれている昭和初期のレコード会社はどうなっていたのか、ドラマの主人公のモデルとなった古関裕而が所属していた日本コロムビアのプロデューサー・衛藤邦夫氏にそれぞれリモート取材を行った。
■レコードも蓄音機もまだまだ高級品だった
――『エール』で描かれている昭和初期の音楽業界とは?
【衛藤氏】日本のレコード会社としては、弊社(日本コロムビア)が一番古いんです。明治43年(1910年)年に日本蓄音器商会という名称で設立され、昭和2年(1927年)に英国と米国のコロムビア社と提携しました。同じ頃、米国のコロムビアと並ぶビクターの日本法人として日本ビクター(現:JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント)ができて、日本ポリドール(現:ユニバーサル ミュージックLLC)、帝国蓄音器(現:テイチクエンタテインメント)、キングレコードが次々できていった感じですね。
――『エール』では、窪田正孝さんが演じる古山裕一は、コロンブスレコードの専属作曲家で、契約金はレコードの売上報酬の前払いみたいなもので、なかなかヒット曲を出せなかった裕一が返済を迫られるシーンもありましたが…。
【衛藤氏】当時は、誰でもレコードを出せる状況ではなかったですし、レコード会社も競合他社としのぎを削るようになって、才能がある人材を囲い込む目的から、専属契約というのはお互いにとってメリットがあったんだと思います。契約内容は人それぞれだったと思います。先にまとまった金額を払って売上に応じて差し引いていくこともあったんでしょう。専属料と印税の二本立ての人や、印税だけの人もいたと思います。
『エール』で古田新太さんが演じている廿日市のようなディレクターが制作統括をしていて、作家に詞を書かせたり、曲をつけさせたり、誰が歌うか決めたりしていました。芸能プロダクションのようなものもなかった時代なので、レコード会社が作詞家、作曲家、歌手を発掘・管理・育成といったすべてに携わっていたんです。
――どれくらいレコードが売れると、ヒットしたことになったんですか?
【衛藤氏】当時は、まだまだレコードも蓄音機も高級品でした。一般家庭にレコードプレーヤーが普及して、レコードを気軽に買えるようになるのは、戦後、昭和30年代になってからですからね。
多くの人にとってレコードは買うものではなくて、誰かがかけているのを聴くもの。街の喫茶店など、蓄音機のあるお店に行くと聴ける、あるいはラジオから流れてくる。そうやって人々の耳に届いて、評判が口コミで広がっていきました。
ちなみにですが、『エール』でも描かれていたように、レコーディングは、歌と演奏を同時に録音、つまり直接原盤に音を刻んでいた。途中でやり直すことができないので、歌手も楽団も一発勝負だったんです。レコーディングの緊張感は相当あったと思うし、実力も高かったのかもしれません。
ただ、レコードから、カセットテープ、CD、MD、今はデジタル配信、ストリーミングで音楽を楽しむようになりましたが、供給する側、つまり音楽を創り提供する側の作業は、大きくは変わっていないと思います。
■ジャンルレスに活躍した古関裕而さん
――御社にとって、古関裕而さんはどのような存在ですか?
【衛藤氏】古関裕而さんは、設立から110年になる長い歴史の中で、昭和の時代を支えてくださった3大専属作曲家のお一人(ほかに古賀政男さん、服部良一さん)。先生の作品は我社の財産です。
古関さんはクラシック音楽が好きで作曲家になっていますから、作る音楽もどこか洗練されている感じがしますよね。歌謡曲だけじゃなく、学校の校歌、社歌、応援歌、戦時中は軍歌も作りましたし、1964年東京五輪の「オリンピック・マーチ」も手がけられて。本当にジャンルレスに活躍された印象ですね。晩年は、『オールスター家族対抗歌合戦』(フジテレビ)で審査員長を務められていたんですよ。
ドラマが盛り上がるにつれ、古関さんにも再び注目が集まり、『あなたが選んだ古関メロディーベスト30』含め、古関作品を集めたアルバムには1万枚以上の注文がありました。あらためて古関メロディーが評価されてうれしいと同時に、かけがえのない財産だと思っています。
――新型コロナウイルスの影響で、収録が中断して、放送が6月29日以降一時休止となってしまいますが。
【衛藤氏】マイナスな話が多くて、この先どうなるかもわからないけれど、タイトルが『エール』で本当によかったな、と思いました。みんなを応援してくれているみたいな感じがしますよね。
ドラマ後半は、戦争を挟んで、戦後の数々のヒット曲が出てくると思うので、楽しみに待ちたいと思います。実は、ドラマのために書き下ろされた瀬川英史さんの曲もすごくいいんです。主人公・裕一が国際作曲コンクールで2等を受賞した「竹取物語」や、音を想って作曲した「君はるか」などは、瀬川さんのオリジナルで、発売中のサウンドトラックに収録されています。放送休止中は、第1話から再放送するということなので、ドラマの展開と併せてサントラも楽しんでもらいたいです。
■2つの音楽業界ドラマ Side『M』
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■放送情報
土曜ナイトドラマ『M 愛すべき人がいて』
テレビ朝日系 毎週土曜 後11:15~深0:05
※6月13日より第4話から放送再開
ABEMA 毎週土曜 深0:05~最新話を配信、全話独占配信
連続テレビ小説『エール』
NHK総合 月~土 前8:00~/BSプレミアム 月~土 前7:30
※毎日再放送あり、土曜は1週間の振り返り、6月29日以降放送一時休止
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June 12, 2020 at 11:25AM
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