Search

小説を音楽に 世界観ヒット 異彩放つ、YOASOBI - 東京新聞

 各種配信チャートで1位を獲得している2人組の音楽ユニット「YOASOBI(ヨアソビ)」が若者たちを中心に、絶大な支持を集めている。ユニットは「小説を音楽にする」という斬新な制作スタイルでファンを魅了。その原作小説をまとめた「夜に駆ける YOASOBI小説集」(双葉社)が18日に発売された=写真(上)(通常版)。メンバーや仕掛け人たちに、小説と楽曲への思いや人気の秘密を聞いた。 (谷野哲郎)

 YOASOBIは作詞、作曲を担当するAyase(26)とボーカルikura(19)によるユニット。10代から20代を中心に人気があり、昨年11月にリリースされた第1弾シングル「夜に駆ける」は、ユーチューブなどの各種ストリーミング再生回数が1億回を超える大ヒットとなった。

 そんな彼らの最大の特徴は「小説を音楽にする」こと。これまで多くの歌手やグループが歌詞に世界観を込めてきたが、YOASOBIは先に小説があり、そこから音楽に変換していく。Ayaseは曲作りについて「原作小説と自分の持っているものを結びつけてその世界を大きくしていく、という考え方で楽曲制作をしています」と語る。

 YOASOBIは誕生の仕方から少し変わっている。ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)では、2017年から誰でも気軽に利用することができる小説投稿サイト「monogatary.com」を運営していて、YOASOBIもその一環。プロデュースを担当するSMEデジタルコンテンツグループの屋代陽平さん(31)は「投稿いただいた小説を『思いがけないカタチ』に作品化するというコンセプトのサービスなので、『小説の楽曲化』という形で新たな取り組みにチャレンジしてみようと思ったことがきっかけです」と説明する。

 今回の小説集には4作品が収められている。例えば、星野舞夜(まよ)が書いた「タナトスの誘惑/夜に溶ける」は、死に神が見える女性に恋した青年を描いた小説で、「夜に駆ける」のモチーフとなった。ikuraは歌うときに気を付けていることとして、「原作小説の主人公として歌うということ、そして原作を基にしてAyaseさんが楽曲に乗せた新たな要素も表現するということを大事にしています」。

 近年、「ヨルシカ」「ずっと真夜中でいいのに。」ら楽曲に合わせたオリジナルアニメーションを制作し、自己表現する音楽ユニットが増えている。中でもYOASOBIは「小説・音楽・映像を行き来して楽しむ」をコンセプトに活動しており、今月1日には菓子メーカーのブルボン、人気漫画「ブルーピリオド」とコラボレーションした「群青」をリリース。公開から1週間で1000万再生回数を記録した。

 今年の音楽シーンをにぎわせ、大みそかの「NHK紅白歌合戦」初出場に期待する声も高まっているYOASOBI。Ayaseは「これからもYOASOBIならではの音楽の楽しみ方を提示していけたらと思っていますので、小説集と併せてお楽しみいただけたら幸いです」とさらなる活躍を口にした。

<SMEの屋代陽平さんの話> YOASOBIは、2人とも音楽活動に対して極めてストイック。こだわりと柔軟性を持ち合わせ、多くの方に自分の音楽を届けたい、それを楽しみたいというハングリーかつポジティブなエネルギーに満ちた2人を、ともに仕事する仲間として心から尊敬しています。

(左から)Amazon限定版、TSUTAYA限定版、HMV限定版の表紙

(左から)Amazon限定版、TSUTAYA限定版、HMV限定版の表紙

◆出版界も期待

 今回の小説集の発売について、双葉社の渡辺拓滋編集局部長は「まだ無名の投稿者が書いた小説がYOASOBIの手によって、十代の若者に大人気の音楽として生まれ変わる。才能ある新人小説家がこれをきっかけに輩出されたら、出版界の革新になると思います」と期待を寄せる。

 初版で三万五千部を発行。「夜に駆ける」の他にも「あの夢をなぞって」(いしき蒼太著「夢の雫(しずく)と星の花」)、「たぶん」(しなの著、同題)といったヒット曲の基になった小説に加え、今秋楽曲化する予定の「世界の終わりと、さよならのうた」(水上下波(みなかみかなみ)著)が掲載されている。

 「原作小説はYOASOBIの『骨』であり、自分の可能性を広げてくれるものでもあります」と話すAyaseは印象的な作品に「たぶん」を挙げ、「実体験とリンクする部分が多かったこと、作品の舞台や視点の面で、楽曲化により、さらに世界を広げられるイメージが湧いたこともあり、楽しく制作に取り組むことができました」。

 表現力が問われるボーカルのikuraは「私が、これまであまり触れてこなかった世界観を表現することに苦労もしましたが、『夜に駆ける』をはじめ、今あらためて小説集にも収録されているそれぞれの作品のより深い部分に触れられたような気がしています。今後も作品ひとつひとつに誠実に向き合って、たくさんの方に歌を届けていきたいです」と意欲的だった。

YOASOBIの二人。

YOASOBIの二人。

<ikura(いくら)(写真左)> ボーカル。2000年9月25日生まれ、東京都出身。シンガー・ソングライターの「幾田りら」として活動中。歌唱力に定評があり、アコースティックセッションユニット「ぷらそにか」にも所属する。

<Ayase(あやせ)(写真右)> コンポーザー(作詞作曲)。1994年4月4日生まれ、山口県出身。初音ミクなどで知られる音楽合成ソフトを使って楽曲を作るボーカロイドプロデューサー(ボカロP)。疾走感あふれる曲調で人気を博している。

関連キーワード

Let's block ads! (Why?)



"音楽" - Google ニュース
September 20, 2020 at 06:21AM
https://ift.tt/2HgnS1M

小説を音楽に 世界観ヒット 異彩放つ、YOASOBI - 東京新聞
"音楽" - Google ニュース
https://ift.tt/2O8FiNz
Shoes Man Tutorial
Pos News Update
Meme Update
Korean Entertainment News
Japan News Update

Bagikan Berita Ini

0 Response to "小説を音楽に 世界観ヒット 異彩放つ、YOASOBI - 東京新聞"

Post a Comment

Powered by Blogger.