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【音楽ギョーカイ片隅コラム】Vo.120「THE YELLOW MONKEY、30周年を迎えたナゴヤドームで新境地へ」 - BARKS


2019年12月28日、ザ・イエロー・モンキーがキャリア初となるドーム・ツアーの幕を開けた。ツアー初日、愛知県名古屋市にある5万人を収容できるナゴヤドームではアンコール4曲を含めた全27曲に及ぶ3時間超えのロックンロール・ショーが繰り広げられた。現メンバーになってから30周年を迎えた記念すべき日に奏でられたのはバンド誕生の曲と称される「LOVERS ON BACKSTREET」をはじめ、「Foxy Blue Love」「SLEEPLESS IMAGINATION」といったバンドの礎である作品はもちろんのこと、名曲「Father」「This is For You」や定番の「SUCK OF LIFE」「JAM」、そして「ALRIGHT」「天道虫」などの再集結後に発表された作品群に加えて新曲「DANDAN」に至るまでの新旧の作品が絶妙なバランスで織り交ぜられた珠玉のセットリストで彩られた。それに合わせるようにインディーズ時代のライブ映像やこれまでのライブ履歴もスクリーンに映し出され、ライブバンドとしての30年史をファンと共に振り返るその演出は初めて観た人にザ・イエロー・モンキーの軌跡を感じさせるには余りある内容であったし、バンドと過去を共有したことがある人にとっては当時のバンドや作品に対する自分の想いや記憶を辿ることができる要素が随所に散りばめられていた。最初から最後まで見応えたっぷりのショーであったのだが、この日のライブで特筆すべきは1曲目の「SECOND CRY」、20年以上演奏されていなかった「“I”」、そして本編最後に演奏された「シルクスカーフに帽子のマダム」の3曲が演奏されたことだ。

第一に「SECOND CRY」でライブが始まったわけだが、これはある種の事件であり、のっけからオーディエンスに大きな衝撃を与える圧巻の幕開けであった。1994年にリリースされたアルバム『jaguar hard pain』の1曲目を飾るこの曲はバンドが最もコンセプチュアルであったジャガー時代の幕開けを告げた作品でもあり、イントロのアルペジオを耳にするだけで一気にあの時代へとタイムスリップできるほどシンボリックな曲である。それ故かジャガー以降はほぼ演奏されてこなかった。それをジャガーの物語から四半世紀以上経った今、しかもライブのオープニングで聴ける日がまた来ようとは一体誰が予想できたことだろう。

次に狂喜乱舞させられたのは「“I”」である。活動歴が長いアーティストにはリリース当時にしか演奏されない幻の楽曲がつきものではあるが、この作品はザ・イエロー・モンキーでいうところのそれに該当し、収録されたアルバム『SMILE』リリース時に開催された<TOUR'95 LOVE COMMUNICATION>やイベント以降、25年もの間演奏されてこなかった。言わば封印されたかのように見えていた曲が突如放たれたことで、歌詞にある卑猥なフレーズを絶叫してしまうくらい理性のぶっ飛んだオーディエンスの姿が事の大きさを物語っていた。

そして「シルクスカーフに帽子のマダム」だ。1993年にリリースされたアルバム『EXPERIENCE MOVIE(未公開のエクスペリエンス・ムービー)』のラストを飾るマリーという名の女性の歌であり、次作のコンセプト・アルバム『jaguar hard pain』へと続く重要なこの曲はかつて黒いドレスと帽子に身を包んだ吉井氏扮するマリーによって歌われていたが、1994年の日比谷野外音楽堂公演にて封印。その後一度だけ<メカラウロコ9>に降臨したマリーは別の持ち歌である「Merry X’mas」を披露したこともあったが<メカラウロコ7>以降、「シルクスカーフに帽子のマダム」は今回同様にバンドとして演奏され、マリーが登場することはなかった。また、2010年には吉井氏のソロ・ライブで披露されてファンをざわつかせたりもした。前述の2曲も含め、そんな曰わく付きの作品がコンセプトなどの枠に囚われず、バンドとして、オリジナル・メンバーによってナチュラルに演奏される日が再びやってきたことに胸を熱くさせられた最高のラストシーンだった。


バンドとして30年、再集結して3年が経過した今回のショーにおいて、バンドとしての魅力をこれまでにない完成度の高さで余すところなく魅せると同時に新たな領域に達してゆく姿をありありと見せつけたザ・イエロー・モンキー。新曲「DANDAN」が表すように吉井氏、EMMA、HEESEY、ANNIEによる渾身のパフォーマンスはバンドが非常に良い状態を保っていることを明示していたし、外タレの大御所が意外な過去曲をいい塩梅でぶち込んで来たときに覚える驚きや高揚感を日本のバンドである彼らが味わわせてくれたのも大変良かった。洋楽育ちの日本生まれなこのバンドは独自の道を歩みながら明らかに今を生きて進化しているし、老いてますます盛んなジャパニーズ・ロック・バンドの誕生、存続は彼らのようなバンドを聴いて育った層からも強く求められている。

2016年5月に東京・代々木で行われた再集結後の初ライブを観て以降、ザ・イエロー・モンキーは日本にはまだ存在しないロック生まれのポップ・アイコンになり得る可能性を持ったバンドであると幾度か明言してきたが、この日の公演こそが正しくその道を突き進む大きな第一歩であり、本当の意味でのザ・イエロー・モンキー第二章が始まったと言えるのではないだろうか。バンドが進みゆくこれからの輝かしい未来を想像でき、続く大阪、東京でのドーム公演や今後のライブへの期待値がより一層高まる素晴らしい祝宴であった。

<THE YELLOW MONKEY 30th Anniversary DOME TOUR>
2019年12月28日ナゴヤドーム公演Setlist
1.SECOND CRY
2.ROCK STAR
3.SPARK
4.Balloon Balloon
5.A HENな飴玉
6.追憶のマーメイド
7.球根
8.This is For You
9.LOVERS ON BACKSTREET
10.Foxy Blue Love
11.SLEEPLESS IMAGINATION
12.I don’t know
13.BURN
14.LOVE LOVE SHOW
15.JAM
16.DANDAN
17.パンチドランカー
18.天道虫
19.“I”
20.SUCK OF LIFE
21.Horizon
22.Father
23.シルクスカーフに帽子のマダム
24.アバンギャルドで行こうよ
25.バラ色の日々
26.ALRIGHT
27.悲しきASIAN BOY

文◎早乙女‘dorami’ゆうこ

◆早乙女“ドラミ”ゆうこの【音楽ギョーカイ片隅コラム】

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January 20, 2020 at 09:43AM
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