西武拝島線の西武立川駅から徒歩約10分の伊藤養鶏場(東京都立川市)。風通しの良い開放型鶏舎からは鶏たちの元気な鳴き声が聞こえてくる。ヒナから成鶏まで約4千羽を飼育する三代目の伊藤彰さん(40)は「おいしい卵を届けたい」との思いから、与える餌にこだわるなどさまざまな工夫を凝らしている。
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同養鶏場で飼育している鶏は「東京うこっけい」と純国産種「もみじ」の2種。生後数日のヒナから成鶏になるまで養鶏場で育て、成長の段階に応じて与える餌も変えている。
烏骨鶏(うこっけい)は、全身が柔らかな白い羽毛で覆われており、肉や骨が黒っぽいという特徴を持つ鶏だ。江戸時代初期に中国から渡来したとされ、中国や韓国では古くから薬膳料理の素材として利用されている。
一般的な鶏に比べて産卵率が低く、年間50~80個程度しか卵を産まない。しかし「東京うこっけい」は都畜産試験場による品種改良によって年間190個程度の卵を産むことができるという。
一般的な鶏卵と烏骨鶏の卵の大きな違いは「黄身と白身の割合」と伊藤さん。体が小さい烏骨鶏は、卵も一般的な鶏卵より小さいが、卵全体に占める黄身の比率が高い。甘く、コク深い味わいが特長で、伊藤さんは「ダイレクトに黄身のうまみを感じることができる生や半熟で食べるのが適している」と話す。
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そんな烏骨鶏の卵の特長を最大限に生かすべく、伊藤さんは餌にこだわる。「餌によって、卵の味は変わる」といい、メーカーに特注した餌を使っている。
さらに、ブランド化を目指し、厳選した東京うこっけいには、仕入れた餌に約20種の素材をブレンドした特製の餌を与え「極鳥プレミアム」として卵を販売。配合は企業秘密だが「味の濃厚さが出る」という魚粉などを加えている。
一年中スーパーなどに並んでいる卵だが、鶏は生き物。季節によって体調に変化も生じる。「夏場は、人間と同じで夏バテのようになり、ご飯を食べなくなる」(伊藤さん)
餌を食べる量が減ると、産卵数や卵の質も下がってしまう。そこで対策に用いるのも、やはり餌だ。「鶏たちが餌を食べられるように」と夏場用にブレンドした餌を与え、鶏たちの夏バテを回避する。
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そんなこだわりがつまった卵。真っ先に思い浮かべる食べ方は卵かけご飯だが、伊藤さんによると「卵を生で食べる日本は、他の国とは全く違う文化」だ。生のままでもおいしい卵を食べてもらうため、工夫は飼育方法にも現れる。
鶏舎をのぞくと、ケージの中の鶏たちが水や餌をついばんでいた。伊藤さんは「鶏の健康を考えると、本当は地面で放し飼いで飼う方がいいのだが、地面で飼った場合、寄生虫のリスクが生じてしまう。ケージ飼いは、生食する日本の文化に合っていて、発展してきた経緯がある」と説明する。
伊藤さんは「一人でも多くの方に食べてもらって、こだわった卵は全然違うんだということを知ってほしい。そして生で卵を食べる文化を大事にしてほしい」と話している。(長橋和之)
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