道内のライブハウスやライブバーが、新型コロナウイルスのクラスター（感染者集団）発生場所のイメージに苦しんでいる。経済活動が再開される中、感染防止対策をとっても客足が戻らず、「置き去り」の状況が続く。プロの音楽に触れ、アマチュアが研さんする場でもあるだけに、専門家は「音楽文化の担い手が失われる」と警鐘を鳴らす。
若手の修業の場
12日夜、札幌・ススキノのライブバー「NOX」。本来20席ある客席を1席ずつ空け、店内の消毒も行うなど感染防止対策をとっているが、この日訪れた客は数組だった。周囲の飲食店はにぎわうが、店長の金村東允さん（42）は「ライブバーだけ取り残されている」と肩を落とす。 昨年2月に開店後、満員の日も多かった。だが、新型ウイルスの感染が拡大し、全国のライブハウスやライブバーでクラスターが発生してからは客足が激減。道の休業要請に応じて4月25日から休業し、要請が解除された6月1日に再開したものの「今も来店を家族に止められている常連もいる」という。 金村さんはプロドラマーでもあり、店は音楽仲間と立ち上げた。「ライブバーやライブハウスは若手の修業の場でもある。不要と思わないでほしい」 同市東区のライブハウス「ジッピーホール」も売り上げゼロの日が続き、経営者の小野克弥（かつひろ）さん（52）は「先が見えない」と嘆く。休業中にもかかわらず「営業していると通報があった」と道の担当者から問い詰められたこともあり、「すっかり嫌われ者になってしまった」（小野さん）。 客の8割が北大などの大学生で音響も学生が担当する。「ここは全国から来た若者の居場所。自分がアルバイトで食いつないでも守りたい」。貯金を崩しながら店を続ける。 西村康稔経済再生担当相は13日、ライブハウスなどの感染防止対策のガイドライン案を公表。消毒やマスク着用に加え、「店内の人同士の距離をできるだけ2メートルを目安にとる」「客の人数を制限する」ことなどが挙げられた。
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June 15, 2020 at 09:07AM
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