オンラインを活用した音楽フェスティバルがタイで注目され始めている。観客がリアルタイムでスクリーンに映し出され、本物のフェスさながらの臨場感を楽しめる。CDの購入や音楽を有料でダウンロードする文化が根付いていないタイで、新型コロナウイルスの影響で収入減に悩む音楽業界の救世主になれるのか。
熱唱する男性アーティストの足元から悠然と現れたクジラが、水しぶきをあげて床へ潜っていく。泳ぎ着いた先にはスクリーンに映った無数の観客たちが体を揺らしていた。タイの音楽レーベル、ワット・ザ・ダックが7日開いた「タイ初」の音楽フェスには約3000人の観客が参加した。自宅や職場で約8時間にわたるフェスを堪能した。
チケットは499バーツ(約1700円)。入金を確認すると「会場」のURLが送られてくる仕組み。専用スタジオではビデオ会議サービス「Zoom」を使い、スクリーンに600人超の観客を映し出す。ヒット曲では、視聴中の観客の映像や歌声にランダムに切り替えて一体感を演出するなど、遠隔で音楽フェスを体験できる仕掛けを考えた。
「本当のコンサートにいるみたい」「チケット代の元はとれた」。終了後、SNS(交流サイト)には上々の反応が寄せられた。
タイでは3月下旬に非常事態宣言が出され、大人数が集まるイベントが禁じられた。タイの音楽産業の収入の柱はフェスやコンサートだ。イベント会社やアーティストは終わりの見えない収入減に直面した。15日には一定の条件下でコンサートなどの再開が認められたものの、感染「第2波」への懸念も残り、回復の道筋は極めて不透明だ。「深刻な状況にある音楽業界を支えるために行動したかった」。ワット・ザ・ダックのサームクワン社長は開催の意図を強調する。
思わぬ効果もあった。オンラインフェスの観客の半数はこれまでコンサートに足を運んだことがない層だった。地方在住者や低年齢層のファンのほか、日本やインドネシアなど国外からの参加も多かった。オンラインならではのファンサービスも好評だ。「こんにちは。お名前は?」。憧れのアーティストに話しかけられたファンの女性は「信じられない」と涙を流した。
課題は映像と音質の確保だ。滑らかな配信にはまだ限界がある。「オンラインのイベントは本物のフェスの代わりにはなり得ない。ただ期待以上の新しい体験は届けられる」。サームクワン社長は力を込める。オンラインならではの双方向性を生かし、窮地を脱するためのタイの音楽業界の挑戦は緒に就いたばかりだ。(バンコク=岸本まりみ)
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June 16, 2020 at 03:19PM
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新型コロナ:タイの音楽業界、オンラインフェスに活路 - 日本経済新聞
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