
以下、本稿ではその内容を解説していくが、この『音楽は素晴らしいものだ』はポップスとしてロックとしても、あるいは歌謡曲としても優秀な作品であると断言できることを先に申し上げておきたい。大衆的でありつつもそこに阿ることもなく、しっかりと先達への敬意を払いながら、ありがちな衒学趣味は感じられない。これもまた後述するが、本作が発売された頃の音楽シーンの状況を考えると時代の波に飲み込まれてしまったような感じも否めないだけに、当時チャート10位を記録した作品とはいえ、再評価の余地は十分にあると思う。つまり、彼らがブレイクする可能性はまだ十二分にあるということだ。2003年から2004年にかけてキンモクセイをヘビロテしていたひとりとして、本当にブレイクしてほしいと心から願って作品解説をしてみよう。
《みんな同じ服を着て歩くのが好き あんな事をしたらみんなに嫌われる/外したら叩かれるそんな世界 されど恋し》《みんな同じ物を沢山作るのが好き 壊れたなら新しいのと取り替える/人々は流れてくそんな世界 だけど恋し》《辛いけど僕一人歩いてもしょうがない/僕もきっとそのうちにいつかは強い風に流されて行くのだろう》(M1「手の鳴る方へ」)。
内容は普遍的な社会風刺であろうが、これを力強く高らかに歌われると完全にロックになって、わりとありふれたメッセージソングになる──という言い方は少し変かもしれないけど、キンモクセイでなくてもありそうな感じはする。ポップなサウンドとメロディーで、伊藤俊吾(Vo&Gu&Key)の声に乗せているのがいいのである。しかも、こんな歌詞も出て来るから余計クールに響く。
《さあみんな手の鳴る方へ鬼に食べられるぞ/僕は程々にて帰り路を急ぐよ/さあみんな手の鳴る方へその隙に僕らは/誰も見た事ない所へと急ぐよ》(M1「手の鳴る方へ」)。
このM1「手の鳴る方へ」はイントロ以外のサウンドも素晴らしい。基本はイントロで聴かせるリフレインながらも尻上がりにテンションが高まっていく。間奏のツインギターのソロもいいが、圧倒的な聴きどころはアウトロ。速弾きのギターに手数の多いドラムが絡んでいく様子は実にスリリングで、このバンドのアンサンブルが強固であることが分かる。その本領発揮したかのような演奏を耳にして“これがキンモクセイかっ!?”と思わず唸ってしまう──それはかなり大袈裟な物言いだとしても、冒頭から《誰も見た事ない所へと急ぐよ》と歌っているのは決して伊達じゃない印象は強くなる。アウトロでのバンドアンサンブルはこれ以外の楽曲でも聴くことができることも付け加えておきたい。
AOR的なアーバンな雰囲気を持ったM2「目隠しの街」はBメロとサビでファルセットを使ったレンジの広いメロディーを有していて、作曲センスの良さをうかがわせるナンバー。ソウルなフィーリングのあるコーラスワークもいい。歌詞は物語があるようなないような感じだが、それゆえに多様性はあって、サビの《ただの楽しい話がしたいね》辺りはアルバムタイトルと絡めて考えると、“これは《話》を“音楽”に置き換えてもいいのかな”などと解釈したくなる代物だ(あくまでも個人の解釈です)。続くM3「二人のアカボシ」は前述した通り、言わずと知れたヒットシングル。これもまたイントロからとても素晴らしい。導入のエレピ+パーカッションからして雰囲気があるし、そこからスライドギター+ストリングスが入るに至っては聴く人の頭の中にある風景を一変させるような効果があると思う。歌メロの展開も巧みだ。Aメロは比較的淡々とメロウに進むが、Bメロでピリッとした緊張感を孕んで、サビは開放的でありつつも完全に突き抜けない…という、やきもきする感じというか、出口がありそうでなさそうな感じが、その旋律からも伝わってくる。
《眠る埋立地(うみべ)と 化学工場の/煙突に星が一つ二つ吸い込まれ/沢山並んだ 街の蛍達も/始まる今日に負けて見えなくなってゆく/君とも離れることになる》《見渡せば青く続く信号機が/二人の想いを照らせばいいのにな/明日の僕らは何処にいる?》(M3「二人のアカボシ」)。
歌詞はことさらに優れた表現や言い回しではないが、情景と心情を丁寧に描写しているので、聴く人がシーンをイメージしやすいと思われ、流行歌としても優れたナンバーであると思う。
"音楽" - Google ニュース
January 01, 2020 at 04:00PM
https://ift.tt/37rKnZe
『音楽は素晴らしいものだ』で確信!キンモクセイは素晴らしいバンドだ! - OKMusic
"音楽" - Google ニュース
https://ift.tt/2O8FiNz
Shoes Man Tutorial
Pos News Update
Meme Update
Korean Entertainment News
Japan News Update
Bagikan Berita Ini
0 Response to "『音楽は素晴らしいものだ』で確信!キンモクセイは素晴らしいバンドだ! - OKMusic"
Post a Comment