2020年11月05日07時08分
菅義偉首相は4日の衆院予算委員会で、日本学術会議会員の任命拒否問題をめぐり、候補6人の除外は杉田和博官房副長官から聞いたと明言した。首相は会議側が提出した推薦名簿を「見ていない」としており、6人除外を判断したとみられる杉田氏の意図が焦点となる。野党は杉田氏の国会招致要求を強めた。
「6人が外されたという説明は誰から受けたのか」。立憲民主党の辻元清美副代表がこう尋ねると、首相は「最終的に(決裁案が)上がってくる段階で聞いたのは杉田副長官だ」と明かした。
首相の説明によると、官房長官当時の8月31日に105人の推薦名簿が提出された際と、9月16日の首相就任後の2回、会議への懸念などについて加藤勝信官房長官や杉田氏を通じて内閣府に伝えた。内閣府は24日に99人の決裁案を起案し、首相は28日に決裁した。
首相はこれまで、推薦名簿の中身を見ていないとし、加藤陽子東京大教授以外の5人の業績や研究内容も知らなかったとしている。辻元氏は「杉田氏が6人を外した方がいいと判断した」と指摘。金田勝年予算委員長(自民)に対し、「ここに来ていただく必要がある」と参考人招致を迫った。
これに関連し、立憲の枝野幸男代表も4日の党会合で「首相が決めたというより、(杉田)副長官が決めたものを追認した。大きな問題だ」と強調した。立憲幹部は「突破口が開けた」と述べた。
一方、枝野氏は衆院予算委で、1983年に当時の中曽根康弘首相が「政府が行うのは形式的任命」と答弁したのに、菅首相が法解釈の変更を否定していることを問題視。否定する根拠となる当時の文書などを示すよう首相に求めた。代わって答弁した加藤氏は「約40年前のことだからその趣旨を今から把握するのは難しい」などとかわし、根拠の有無には言及しなかった。
共産党の志位和夫委員長は、学問の自由だけでなく表現や言論の自由への懸念が広がっていると批判。首相は「全く関係ないと丁寧に説明したい」としつつ、「会議を閉鎖的(な体質)、既得権益、前例主義から脱却させる中でより良いものにしていきたい」と語った。
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