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LGBTQ+認知拡大を目指すK-POPスター、ホランドが語る音楽の力。 - VOGUE JAPAN

Photo: Courtesy of Holland

K-POPアーティストのホランド(Holland)には、デビューシングルをリリースしたときから心に期するものがあった。

2018年、彼はデビュー曲「Neverland」の超キュートなミュージックビデオに、同性によるキスシーンを入れた。リスクは承知の上だった。MVにこのようなシーンを入れれば、まったく相手にされないか、最悪の場合はまだ始まってすらいないキャリアが終わってしまう恐れすらあった。

「ホランド」という芸名も、彼のステートメントだ。コ・テソプという本名をあえて「オランダ」を意味する名に変えたのは、同性結婚を世界で初めて合法化した国への敬意からだった。

こうしてホランドは、K-POP界で唯一、LGBTQ+をカミングアウトしたアーティストとなったわけだが、デビュー時はソウルのメディアに大きく注目されることもなかった。それでも、K-POPのファンは彼に熱狂し、「Neverland」のMVは公開からわずか24時間で160万再生を記録した。

衝撃のデビュー以来、ホランドは数多くのファンを獲得し、その勢いは今もとどまるところを知らない。「Neverland」の再生回数も今では1,300万回に近づき、クールなセカンドシングル「I’m Not Afraid」は再生回数480万回を記録。「I’m Not Afraid」と対をなす「I'm So Afraid」もまた、100万回再生された。

昨年12月にリリースされたハッピーな新曲「Loved You Better」もまた、現時点で250万回以上の再生回数を誇る。インスタグラムのフォロワーも90万人近くに達し、セルフタイトルのアルバムの制作資金をクラウドファンディングで募った際には、目標に設定していた5万ドルの2倍の金額を、わずか48時間で調達した。

恐れることなく自らの道を切り開き、LGBTQ+の権利の擁護を訴えるホランド。多くの才能に恵まれたミュージシャンであり、そのユニークなファッションセンスにも定評があるホランドに、話を聞いた。

「欧米のLGBTQ+アーティストに力をもらった」

──今や世界中で耳にするK-POPですが、ほぼすべての曲が韓国語で歌われています。そのようなジャンルが世界中で人気になるだけでなく、さまざまな記録を塗り替え、ワールドクラスのスーパースターを生み出している理由はなんだと思いますか?

歴史的に見ても、韓国は急激な経済成長を経験した国。だから、世界トレンドに敏感なんだと思う。人々のニーズを即座につかんで、うまくアレンジして洗練させる。そうやって、さまざまな高品質の製品を生み出してきた。これと同じことが、韓国の音楽業界やK-POPにも当てはまるんだ。つまり、トレンドを見極め、磨き上げ、質の高いパフォーマンスや音楽としてアウトプットする。さらに、ファンとアーティストの間でオープンなコミュニケーションが活発に行なわれているのも、K-POPの特徴だと思う。

──デビューアルバム『ホランド』を振り返って、今の想いを聞かせてください。

あの時と比べると、ずいぶん成長できたと思う。デビューした直後は20歳そこそこで、自分は世間知らずの普通の男の子だという感じだった。でも今は、大人になった実感がある。いろいろな人との出会いから多くを学んだんだ。音楽についても視野が広がって、本物のアーティストに近づいているという手応えがある。ファンからも、本当に沢山の愛情をもらってきた。よい音楽をつくることでファンに恩返しができたらと思って、日々頑張っているところだよ。

──あなたはデビュー当時からLGBTQ+であることを公表しています。なぜ公言することが重要だったのでしょうか。あなた以前に、ゲイやバイセクシュアル、トランスセクシュアルであることを公表したK-POPスターはいませんでしたね。

僕が若かったころ、LGBTQ+であることをカミングアウトしている韓国のアイドルは1人もいなかった。学生時代、特に辛いことがあると、僕は欧米のLGBTQ+のポップアーティストに力をもらっていたんだ。だからこそ、韓国にも同じような存在が必要だと思った。

それに、聴く人にとって意味のある音楽をつくることで、自分の体験を共有したいという気持ちもあった。同世代の幅広いカルチャーやものの見方からもインスピレーションをもらっているし、自分の実体験から発想を得ている部分もある。

──インクルーシブで多様性が受け入れられる世の中にしていくために、ご自身には何ができると思いますか?

自分がつくる音楽、ファンに届けるメッセージ、そして僕という人間が存在しているということそのものが、人々に影響を与えていると信じている。韓国社会は残念ながら、まだLGBTQ+やそのコミュニティを広く受け入れる状況にない。だから、これからは同性愛についてオープンに語る機会が増えればと期待しているんだ。そうした対話を広げていくためにも、僕の音楽が役に立てばと願っている。

「創作は、自分を客観視する機会」

Photo: Rie MyMusic Taste

──韓国のK-POPコミュニティからも支持されていると感じますか?

周りに僕を支えてくれる人はいる。でも、ほかのK-POPアーティストと顔を合わせたり、話をしたりする機会があまりないから、どう見られているのかはよくわからない。それでも、僕の音楽や活動を好きになって、リスペクトしてくれるアーティストはたくさんいるよ。

──ファッションの観点で今、一番興味がある人は誰ですか?

タイラー・ザ・クリエイター、カニエ・ウェストリアーナカーディ・B、韓国だったら兵役から戻ってきたばかりのジードラゴンだね。ファッション界では(『Dazed』誌の)ファッション・ディレクターのロビー・スペンサーと、アン ドゥムルメステール(ANN DEMEULEMEESTER)でクリエイティブ・ディレクターを務めるセバスチャン・ムニエ。

僕のスタイルには、誰が見てもわかる独特のテイストがある。普段は、パーカーや着心地のいいストリートウェアを選んでいるけれど、アーティストのホランドとして表に出るときは、もっと「ロマンティック」なスタイル。例えば、2019年12月のヨーロッパ・ツアーでは、アン ドゥムルメステールのアイテムをよく着ていたよ。特に、ボーイッシュでヴィンテージライクなルックが好き。自分にすごく合っていると思うんだ。それから、ステートメントのあるアイテムを取り入れたクラシックでシンプルなルックも好きだよ。あとはハイブーツも!

──YouTubeでMVが何百万回も再生され、クラウドファンディングでは約1000万を集めるなど、ファンへの影響力も絶大です。ご自分では、どんなところがファンを惹きつけていると思いますか?

ほかのK-POPスターと比べると、僕はより自立していて、個人主義的なイメージがあるかもしれない。僕のファンは、そういう率直でウソのないところを支持してくれているのだと思う。それに、マイノリティや社会の周縁に追いやられた人たちのコミュニティは世界中にあるけれど、僕は韓国において、そうした人に安心感や希望を与える存在になれたんじゃないかな。僕の目標は、ポジティブなメッセージのある音楽をつくること。自分の音楽に集中して、たくさん作品をつくるほどに、自分のことがより理解できるようになった。語りたいストーリーや価値観、どんな人物として記憶されたいか、といったことが明確になってきたんだ。僕にとって創作は、自分を客観視する機会なんだ。

──なかでも「Neverland」のMVの再生回数は1,200万回に達しました。驚きましたか?

デビュー前の予想をはるかに超えた支持を得られたことに、まず驚いたよ。僕が誰かとキスするところが1,200万回も見られたなんて、信じられないよ!

「君は愛されるに値する人間だ」

Photo: Courtesy of Holland

──カミングアウトしたことで、ほかの若い人たちにどんな影響を与えたと思いますか?

ファンからはDMやファンレターを通じて、また、直接会った機会などに、いろいろなかたちでメッセージをもらっている。僕のおかげで家族や友だちにカミングアウトできた、と言ってくれる人も多いんだ。そんな話を聞くたび、もちろん驚くし嬉しくも思うけれど、同時に彼らのことが心配にもなる。僕自身、彼らにそれほどの影響を与えている存在になったことに、まだ馴染めないでいる部分もあるんだ。それでも、プラスの影響力があると思ってもらえているなら、すごく救われるよ。より広いコミュニティの話をするなら、自身がLGBTQ+ではない人も含めて、LGBTQ+コミュニティに関する対話が活発になれば嬉しい。僕や僕の音楽が、そういうことを考えるきっかけになってくれたらと思うんだ。

──カミングアウトを考えているLGBTQ+の若いファンに、どんな言葉をかけますか?

周りの人がどんな反応を見せようと、一つだけ覚えていてほしいことがある。否定的な反応もあるかもしれない。でも、それを「自分のせいだ」と思い詰めたり、自分を責めたりしてはいけない。君は絶対に悪くないし、何も悪いことはしていない。君は愛されるに値する人間だ。そして、誰よりも愛さなくてはいけないのは君自身。何があっても、自分を好きでいてほしい。

──音楽業界で活動する中で困難に直面したとき、どう乗り越えていますか?

厳しい業界だから、心身の両面で悩みを抱えるアーティストが多いのは事実。僕だって、悩んだことがないと言ったらウソになる。僕もまだデビューしてまもないから、うまくこの業界でやっていく方法を模索しているところ。でも、自分の作品に救われている部分もある。韓国では、メンタルヘルスの問題は、いまだにタブー視されているところがあるから、これからはもっと心のケアや治療についてもオープンに話せるようになるといいよね。

──2020年にもっとも期待していることは何ですか?

あらゆる出来事に感謝するようにしたいんだ。いいことも悪いことも。それから、より前向きな気持ちでいられるように心がけている。フルアルバムもリリースしたい。僕としては、持てる力をすべてアルバム製作に注ぎ込んで、自分の納得のいく音楽をつくる、ただそれだけ。

やりたいことはたくさんあるんだ。ほかの分野にも挑戦してみたい。演技や、「TED」トークにも出演してみたい。英語をもっと勉強して、いろいろな国でプロモーションしたいね。長期的には、ホランドというアーティストをK-POPアイドルとしてだけではなく、多くのジャンルや業界に忘れられないレガシーを残したアイコンとして記憶されたいんだ。

──今後、どんなアーティストとコラボしてみたいですか?

K-POPアーティストでコラボしてみたいのは、ソンミだね。ポップアーティストでは、フランク・オーシャンとハリー・スタイルズ

Text: Hattie Collins

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March 26, 2020 at 08:03AM
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