「心に残るフレーズ」の重要性を自作の歌を披露しながら伝える片岡大志准教授=埼玉県川越市で |
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二度目の東京五輪イヤーが幕を開けた。戦後復興の象徴として開催された前回の一九六四年大会。あれから五十六年。インターネット全盛の時代になり、世の中は大きく変わった。エンターテインメントや放送はどのように時を刻んできたのか。三日連続で紹介する。
◆歌詞 長く説明調に
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歌は世につれ、世は歌につれ…。流行歌はどう変容していったのか。
「冒頭二行の言葉に、十行分ほどの情報量がある」。埼玉県川越市の尚美学園大の音楽表現学科の授業。片岡大志准教授(48)が教材にしたのが、荒井由実(現松任谷由実)の「卒業写真」(一九七五年)。カメラや映像で一シーンを切り取ったように紡いでいく歌詞に「書かれていない情景でもみんなの頭の中にイメージが浮かんでくる。すごい描写力」と解説する。
矢井田瞳やmiwaらのプロデューサー、シンガー・ソングライターとしても経験豊かな片岡准教授が強調するのは、これだけ豊かなストーリーなのに、歌詞はわずか約二百文字で作られていること。対して、近年のJポップに目を向けると、「卒業写真」と同様、約四分の楽曲でも歌詞の文字量が三倍くらいになる例が珍しくないという。心模様や情景を事細かに「説明」する傾向にある。
歌詞長文化の一因を「日本語の曲が洋楽化した」と片岡准教授。六〇年代、欧米のレコードが広まり、それまで日本の流行歌になかった音階を取り入れた曲が生まれた。その後、斬新な感覚のミュージシャンが現れ「リズムも複雑になり、サウンドは洗練された」。テンポも速くなり、詰め込める言葉が増えたという。
半面、「卒業写真」のような行間の味わいは薄らいでいく。「情報量が多い歌は聞き取りにくく理解も難しい」と語ると同時に「聴く人の想像力に委ねにくくなっているのかも」と指摘する。テレビのバラエティー番組などで、過剰なまでに文字テロップが表示される風潮を挙げ、想像力の低下に結びついている可能性に憂いも感じている。
「短い言葉でつづった歌詞は、メロディーも生きてくる。(短文の)ツイッターとかをよく読む若い世代から、新たな詩情が生まれるのではないか」。そんな期待も抱いている。
卒業写真
作詞作曲・荒井由実
悲しいことがあると
開く皮の表紙
卒業写真のあの人は
やさしい目をしてる
町でみかけたとき
何も言えなかった
卒業写真の面影が
そのままだったから
人ごみに流されて
変わってゆく 私を
あなたは ときどき
遠くでしかって
(以下略)
(JASRAC 出 1914275−901)
◆宅録 PCで曲作り
マンションの一室で曲作りもレコーディングもこなすtofubeats=東京都目黒区で |
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技術の進化も音楽の環境を大きく変えた。
「楽器を弾けなくても、譜面を読めなくても作れてしまうんです」。こう語るのは気鋭のミュージシャンtofubeats(トーフビーツ)(29)。マンションの一室で、パソコン(PC)を中心とした機器を操作して曲を作り、レコーディングも完了させる。スタジオで歌い演奏する光景はない。世界で流行する「宅録」(自宅レコーディング)のスタイルだ。
神戸出身。緻密で洗練されたメロディー、ジャンルを問わない楽曲を続々手掛ける宅録の旗手だ。二〇一三年にメジャーデビュー、一八年には第四弾アルバム「RUN」を出すなど、勢いがある。
中学時代からPCを駆使し、曲作りを始めた。中古レコードやCDを大量に聴き、気に入った部分を取り入れる「サンプリング」の手法と、PCによる音楽制作に磨きをかけた。独創的なセンスを発揮し、一人だけで手掛ける。高校時代には「楽曲制作で収入を得た」という。
デジタル機器の進化が宅録の環境を向上させ、多彩なアーティストも世に出ている。高校時代、tofubeatsはその斬新な楽曲で「革命的」と驚かれたという。時代は巡り最近、自身のライブ会場で十代のファンから「スマホで作りました」と曲を提示されることもあり、優れた作品に驚くこともあるという。半世紀前には想像もしえなかった音楽の在り方が、いまや当たり前になってきた。 (藤浪繁雄)
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January 03, 2020 at 07:08AM
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